イソトレチノイン内服によるニキビ治療、当院のニキビ跡治療について
本日は当院で行っている、イソトレチノイン内服治療とニキビ跡治療について取り上げたいと思います。
当院でも取り扱っているイソトレチノインについて厚生労働省から注意喚起が出ていますが、確かに効果も高い内服薬です。
成分としてはレチノイン酸というビタミンA群の内服薬なのですが、ビタミンA群の外用で用いるときも含めた主な作用を列記すると、
・皮膚のターンオーバーを亢進させる。
・皮脂腺を退縮させ、皮脂の分泌を減少させる。
・コラーゲンの合成を促進させ、小じわを改善する。
などがあり、いいことずくめのように見えます。
内服は自費治療になりますが、難治性のニキビ(保険適応の外用薬治療などで治まりきらない、背中にも広がって現実的に外用薬で塗りきれない、など)に用いられます。他に、皮脂の分泌過多による脂漏性皮膚炎(皮脂を好むマラセチアというカビが原因とされています)の症状改善にも有効です。
こうした症例では、昔ながらの生活改善や保険治療だけで対応することは難しい場合も多く、困ってらっしゃる方も多いのではと思います。そうした症例でも、本薬の内服を始めると(やや値が張るのは事実ですが)1ヶ月程度で効果を実感できると思います。実際には半年ちょっとの内服期間が必要なことが多いですが、効果はしばらく(3−4年)持続することが期待できます。また、皮脂腺の退縮に伴い、毛穴の縮小も期待できます。
自験例写真
脂漏と発赤を認めたが、3ヶ月程度の内服で改善。毛穴の退縮も認める。
一方で、注意点、副作用としては、成長障害、催奇形性、レチノイン反応も含めた皮膚炎の惹起などがあり、ビタミンAは過剰摂取による体内蓄積が問題となりうる物質ですので注意が必要です。具体的には、成長期の方、妊活、妊娠中の女性には投与できません。
また、ニキビの原因の一つでもある皮脂の分泌にはアンドロゲンという男性ホルモンが関わっており、ニキビの気になる2次成長期の男性、アンドロゲンの分泌過多が背景にある女性などへの安易な内服はおすすめできません。症例に応じた治療が重要なことはもちろんですが、まずは保険治療が十分有効な症例も多いからです。
イソトレチノイン内服療法は信頼性の高い有効な治療法ですが、かならず医療機関を受診の上採血などで副作用の確認をしながら内服をされることをおすすめします。
ニキビの自費治療に関連して、ほかに当院で行っているのはニキビ跡に対するレーザー治療、光治療(IPL)です。
ニキビの治った跡の赤み(PIEなどと呼ばれます。)に対して、IPL照射が一定の効果を持っています。IPLはいろいろな波長の強い光を照射する治療であり、シミはもちろんですがPIEにも一定の効果があります。このPIEは時間経過とともに自然消退することになっていますが、たとえばご結婚前など急いで赤みを改善されたい方などにはよい適応かと思います。3−4週間ごとに複数回の照射が必要ではありますが、肌のトーンアップや小じわの改善効果なども見込めますので、ご検討いただいてはどうかと思います。
レーザー治療ですが、当院で行っているのは目立つ陥凹に対するCO2レーザー治療です。深い陥凹は皮下に瘢痕形成を伴っており、ダーマペンやフラクショナルレーザーなどでは十分改善できないことも多いです。そこで、黒子取りなどでも利用されるCO2レーザーを用いて瘢痕を除去する治療を行っています。皮膚に形成されてしまった段差をなだらかにするだけでも一定の改善が得られます。
難治性のニキビ、ニキビ跡、顔の赤みに対して、当院で行っている自費治療についてご紹介しました。
当院ではまず保険治療から開始することをお勧めしています。お悩みの方は一度受診いただければと思います。